最近、『米』や『卵』の販売価格が上がっているというニュースをよく聞きます。
　お判りのように、物の値段にはそれを生産するためのコストや流通販売させるためのコストが加算され、適正な価格が決まりますが、更に取引の市場の需給動向より、実際取引される販売価格が決定されております。したがって価格決定の最大の要因は市場の需要と供給の動向によるものが現在の資本主義経済です。
　労働市場も同じであり、需要と供給の動向によって需要があっても供給サイドである就業者数が相対的に少ない場合は、その労働価格は上昇していきます。

　令和7年12月4日付の日本経済新聞に【会計士→配管工　給与3倍】との見出しの記事に目を引かれ読んでみると、既にアメリカではAIの代替によりホワイトカラーの職が半数になり、それまで会計士として働いていた人が、需要が高く、AIの代替ができない配管工に職業訓練などを経て転じた後、会計士の3倍の給与をもらっているという記事でした・・
　需要と供給、時代の流れは労働環境にも影響を及ぼしてきた・・それまで隆盛を極めた職は永遠に続くわけではなく、産業革命やIT革命の波の後は、それまでなかった産業が起き、働き方にも多大な影響を与えてきたが、このAIに限っては産業が広がりをみせるのではなく、AIに代替できる業種は雇用人員を縮小、Shrinkしていくことが、今後日本でも起こりうることだと言えます。

　私共、『空調衛生設備業』はまさに多くの配管工、ダクト工技術者の集団であり、今後、AIに置換わることができない業種の一つです。にもかかわらず、未だ国内では業界に入職いただく方が少なく、人材の確保が現状の喫緊の課題であります。人間が働き、暮らしていく環境には必ず、室内空調の環境と水道、排泄のためのトイレなどの衛生環境が欠かせません。コロナ禍以降、需要は高くなっても、少なくなることはない業種、それが我々の業界です。
　もし入職をご検討されておられる方がいらっしゃるなら、これから50年を見据え、じっくり腰を据えられる業種がどういう業種かという観点から、周囲の方にも入職・転職を促していただくよう切に願っております。

長崎県空調衛生設備業協会
会長　平 一成